耳日記

『若い読者のための哲学史』

本書は、イェール大学による”Little Histories”シリーズの一冊、『A Little History of Philosophy』の邦訳だ。アリストテレスに始まり今日まで繋がる西洋哲学の歩みをコンパクトにまとめている。

難解な哲学書に挑戦し挫折した経験を多くの人が持っているのではないだろうか。私もハイデガーの『存在と時間』に挑戦し、挫折したことがある。哲学書を難しく感じる要因として、第一義的には内容それ自体の難解さがある。しかし、その哲学書の背景知識、すなわち文脈理解の欠如も哲学書を難解にしているものの一つだろう。

すべての哲学書は、というよりも全てのものは何らかの文脈に属している。全ての文脈から独立した、完全に自由なものは存在し得ない。ここに文脈への理解の重要さが見て取れる。

ここでいう文脈は、その哲学書が出された当時の歴史的背景もあるし、著者のバックグラウンドもあるだろう。

そうした文脈への理解を助けるのが本書だ。本書は40の章に分かれていて、基本的には一つの章で一人の哲学者を扱っている。アリストテレスに始まり、最終的にピーター・シンガーに終わる。

川瀬氏も述べているが英語圏から見た哲学史、という性格が強い事には留意が必要だ。

哲学に入門するための最短コース - 川瀬和也 研究ブログ
哲学の入門書は様々にありますが、どれから読んでいいのかわからないという方も多いでしょう。この記事では、学問としての哲学に入門するための「最短コース」を私なりに提示してみます。 ここで「最短コース」というのには二つの意味があります。一つは、最も効率的に、専門的な哲学の書物を読みこなせるために読むべき本の順番を示したものだということ。そしてもう一つは、決して誰でも通れる楽な道ではないということ。「近道」なので、少し急な階段を上るようなイメージです。この順番で読んでみて途中で歯が立たないなと思った場合には、もう少し回り道をしながら進んでいく方が良いでしょう。 さて、以下のガイドは三つのステップに別れ…
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